「大人なのに」 「大人だから」
先日、友人と飲みに行った時の事。
金曜という事もあり、夜は深くなっても街は色とりどりの光がきらめき
人々も明日から始まる休日に浮足立っています。
私は駅へ向かうため信号待ちをしていると、
「なんでそんなこというの!?」
と女性の泣き叫ぶ声が聞こえてきました。
振り返ると、反対車線の歩道に男性2人に抱えられながら歩く女性の姿が見えます。
恐らく酔っぱらっているのでしょう。
千鳥足で歩く女性を、職場の同僚であろう男性達(どちらかが彼氏という感じでも友達という感じでもなかったので…)が必死で支えています。
女「もう歩けない」
男1「だって終電逃したら帰れなくなるよ?」
女「別にいいよぉ…もう」
男2「いや、よくないから。俺普通に明日仕事だし」
女「じゃあ私置いて帰ればいいじゃん!」
男2「もうマジで勘弁して」
女「もう歩くのイヤだ」
しばらく街中ロードショーを後ろ耳で聞いていると、
新たな役者が登場したのです。
私の目の前にいる18歳くらいの、校内ヒエラルキーで上位にいるであろう
強めの女子2人組が、酔っ払いの彼女に向かって
「大人のくせに!」
「恥ずかしい!」
と大声で叫び、走り去っていったのです。
こんな大人にはなりたくないよねぇ
と嘲笑っているかのような口ぶりで。
確かにいい歳した女性が酔っぱらって男性2人に介抱されるなんて、
同じ女性として如何なものかと思います。
「あわよくば」なんて考えている男性だったら、ドラマのような
目を覚ますと見知らぬ天井があり、隣には知らない男性が寝ていて…
なんて事も現実に起こりうるかもしれないのです。
でも…
「大人だから」お酒に溺れたい時もあるんです。
ティーンズの彼女たちだって、
今は「大人のくせに」あんな酔っ払ってみっともないと思っていても、
いつかきっと「大人だから」と思う時が来るはずです。
大人って思っていたよりも大人じゃないんです。
でも社会に出たら、ちゃんとしなきゃいけないから。
時には自分の感情だって押し殺して、社会に順応しなきゃいけないんです。
だから、たまにはいいじゃない。逃げたって。
お酒を飲んだ頭でそんな事を考えたいつかの金曜の夜でした。
明石ほほ子